①予算の確定とプランニング
予算
まずどのくらいの物件が買えるのかを検証してゆきましょう。全額自己資金であれば購入時の諸費用も含めての手持ち資金を出してみてください。また多少の余剰資金は必要です。
入居後のランニングコスト、当然不動産取得税も必要になります。
借入を検討する場合には自己資金と借入金のバランス、返済額と利回りのバランス、また年収と空室率のバランスを検討しなければなりません。
頭金
自己資金0円でも大丈夫です。諸費用だって借りられます。なんて甘い事葉に惑わされずしっかりとした資金計画を立てなければなりません。都銀では自己資金0ではまず融資はしてくれません。事業用ローンはマイホームと違い頭金が必要になります。頭金の2割も貯められない人にこれから先家賃収入だけが返済原資で融資を貸し出す事は計画性無しととられます金利上昇、入居率なども含めてプロの見方で判断します。また処分価値についても審査されます。万一返済が滞った場合右から左に処分できる価格で担保設定しますので当然市場価格よりシビアな数字になるのです。それが概ね物件価格の7~8割なのです。よって市場価格で物件を調達する場合には価格に対して2~3割の頭金を求められる事になります。プラス所費用です。でもこれが適正な判断と見て良いでしょう。
部屋数
マンションの専有と違いアパート、マンションなどの一括購入の場合には入居率も判断します。都銀がなぜワンルームに融資したがらないかと言えば前出の入居率のリスクがあるからです。アパートでも総戸数4戸では空室リスクが高く仮に2部屋空いたとしたら入居率50%になります。つまり事業として考えれば事業収益が1/2に落ちる事ということでこれではリスクが高くなります。かといって戸数が多くなれば当然予算の問題も出てくるでしょう。最低限6室以上のアパートあたりから検討してゆきましょう。
プランニング
高利回り?安定?
投資は自己責任で行わなければなりませんが、投資に何を求めるかと言う事です。不動産経営という事業を行うのです。目的をはっきりもってそれに見合う投資を行わなければなりません。ここではアパート・一括マンション等について解説します。
ファミリータイプ
比較的入居者は安定しています。一度入居すると長期で借りてくれるのが特徴です。しかし、その分ワンルームと違い利回りは落ちます。また日当たりなども重要視されますし、地方では駐車場が必須となります。建設費はワンルームと違い水回りなどが少なくて住むため建築単価は安くなります。
ワンルームタイプ
高利回りを実現できますが、入居者の入れ替わりが多く、ファミリータイプと違い安定しません。また比較的若い入居者が多いのも特徴で、近隣に迷惑を及ぼさないよう留意しなければなりません。これから建築するのであればロフト付は必須です。
事務所ビル
最近はOAフロア対応など設備面での充実を求められています。また2010年問題など供給過剰の問題があり設備の古い物件、規模の小さい物件などは空室リスクが高まります。詳しく書いても構いませんが関係ないことで長くなるのは嫌なので書きませんが、大資本会社のライバルが多いのではっきり言って素人は手を出さない方が無難です。
②物件探し
不動産屋さんに依頼
不動産を求めるのですから、当然不動産屋さんに問い合わせすることになります。しかし、駅前などに店をだしている多くの不動産業者は実はマイホーム専門の場合が多く、事業用物件のノウハウを持っている営業社員が居るとは限りません。看板を良くみてください。○○ホームや○○ハウジング、○○住宅など住宅専門会社が多いはずです。今は業者間のネットワークがありますので投資物件の資料も入手できますが、具体的な取引をしたことが無い営業マンも数多く存在します。もし不安だったらその営業マンにこう尋ねてください。「それではこの物件資料のレントロール下さい。」と。
その営業マンがこう聞かれてその意味がわからなかったら即その店をあとにして帰ってください。
専門業者から
最近投資バブルのせいで事業用専門の会社が多く現れました。やはり専門会社だけあって情報も豊富でノウハウも持っているようです。どこでその業者を見つけるかと言うと最近ではインターネットが殆どです。投資専門の検索サイトもあります。不動産は地域性のあるビジネスなので地域性の無いインターネットビジネスでは不動産売買は難しいとされてきました。しかし、事業用物件は違います。特にエリアの絞込みをする必要が無く、場所よりも事業として成立するかを重点的に見ますのでインターネットでの活用をお勧めします。投資物件検索サイトに掲載されている業者は事業用物件を専門に行っている業者が多いのが特徴です。最近ブームだからと事業用を始めた業者もありますのでしっかりとノウハウがあるか?適性性なアドバイスを受けることが出来るかきちんと判断しましょう。
土地から探す
資金的に余裕があれば土地から探す方法もあります。土地を購入し、その上に工務店などに依頼してアパートを建てる方法です。そうすれば新築物件と違い余分な業者の利益は省けます。
東南角地、地型が良く、閑静な住宅街でなんて自分が住むつもりで購入してはいけません。当然入居者の事を考え賃貸に出すということは自分が住む事に似ていますが、あくまで事業です。あまり条件の良い土地はその分土地取得価格が高くなり事業として成り立たないのであれば本末転等になります。
また建物についても考えなければなりません。大手アパート建築専門のメーカーも沢山あります。それらの商品は主に企画商品として確立されていますので比較的大きな土地が必要になります。また変わった地型の場合には建築できない事もあります。これらメーカーは地主さん向けが主な得意先ですので、相続対策など遊休地の活用として作られた商品です。大きめの土地を取得できれば良いのですが、ぎりぎりの予算で購入した土地に当てはまるかどうか検討しなければなりません。
地元の工務店で建築するのも一つの方法です。住宅を作っている工務店であればアパートを作る事もそれほど違いはありません。いかにノウハウをもって設計するかがポイントになります。その為設計士を選ぶことを重要視しましょう。またはとにかく自分の要望を設計士にぶつける事です。ロフト、セキュリティ-、専有部分の広さ等地域特性にあった仕様にしてゆきましょう。
建設業者から探す
アパート、マンション専門の建築会社もあります。当然資産運用のノウハウや資金計画などもやってくれます。建物を依頼するのが条件になりますが、同時に土地探しまでお願いできる事もあります。セミナー開催や新聞広告などまたインターネットなどでも簡単に探す事ができます。良い土地を紹介されればそこの会社で依頼せざるを得ませんので建てるメーカーを厳選して問い合わせしましょう。またこれらの会社では土地付アパートなど商品として取り扱っている場合も多く、積極的に問い合わせしてみてはいかがでしょうか?
競売
競売と言っても最近の競売は一般消費者が介入して昔ほど恐いイメージは払拭されたと思います。最大のメリットは価格が安い事。そして誰でも手数料無しで参入できると言う事です。
デメリットはすべて自己責任になります。資金調達も自己責任ですので落札して払込期日までに全額お金を用意できなかった場合には入札した時の保証金は没収されてしまいますので十分資金に余裕を持って行ってください。最近は競売物件でも融資してくれる金融機関も少しではありますが、増えてきました。しかし基本的には競売物件のお金の流れは通常と違います。
入札時2割の保証金を払い込みます。(落札できなかったら戻ります)その後落札できたら残金全額を期日までに払い込みます。裁判所が残金の入金を確認したら裁判所が職権で移転登記します。その時点でようやく自分名義の不動産になります。通常の融資は移転登記と融資実行は同時に行いますので所有権移転前に融資実行する事はありませんが、競売はこのシステムをとることが出来ないのです。よって競売物件は融資で購入する事が難しいのが現状です。また建物の内覧も出来ません。落札した物件は瑕疵があってもすべて自己責任になりますのでご注意下さい。マンションの区分所有の場合には対象物件に管理費の滞納などがあれば落札者が滞納分を支払います。当然前の持ち主が居座れば落札者は立ち退き交渉も必要になります。
③調査検証
周辺調査
ある程度希望の物件が見つかったら物件調査を行わなければなりません。まず肝心な事は権利関係と周辺の入居問題です。周辺には同様のアパートなども存在すると思います。エリアによってはワンルームでは契約にならないファミリータイプ専門の場所かもしれません。近隣のアパートの入居率を比較して見ましょう。またそれらの物件と希望物件との比較をします。希望物件が周辺の物件から劣っているのであれば家賃の検討やリフォームなど差別化しなければならないかもしれません。またどの位の入居が見込めるのか?をじっくり調査しなければなりません。駅からの距離や幹線道路など調べることは沢山あります。
災害リスク等
地域によっては災害リスクの高いエリアもあります。
住宅密集地で道路が狭い→大地震等での火災リスク
川が近くにある低地→水害リスク
地盤が弱い→建物の不当沈下など
がけ→崩壊
人的リスク等
近隣の建築計画→将来日当たりは確保できるのか?
極端な住宅街→近隣のワンルーム建築反対運動
隣接地の住人→敵意は無いか?危険人物はいないか
建物チェック等
これは基本的に専門家にチェックしてもらうのが一番ですが、少しですが素人でも簡単に見分ける方法を伝授します。
外回り外壁、基礎のヒビ
同一方向に何本もある場合には加重がそちらにかかっている証拠です。小さいヒビではなく太い亀裂や柱に沿った亀裂は危険です。
水平については最近一般的になっていますが、ビー玉を転がす方法などもあります。ホームセンターで水平器を買っても数千円ですのでその位は投資しても良いかもしれません。
権利関係等
登記簿謄本取得は必ず原本で確認しましょう。権利関係、履歴、面積、抵当権などは必ず確認すべきです。わからなければ信頼できる不動産業者に確認してもらいましょう。公図などでも土地の権利関係を調査して行きます。
また道路関係や給排水配管など契約の前に重要事項で説明されますが、直前に説明されても意味不明な場合が殆どです。出来れば自分で役所等にて調べられれば良いのですが、やはり信頼できるプロに見てもらうのが一番でしょう。当社も一級建築士が物件調査を行いクライアントに報告しています。万一問題点などがあれば、その問題点など第三者が冷静判断してクライアントにアドバイスしています。
境界
必ず現地で確認しましょう。引渡しまでに売主さんと隣地所有者とで交わした境界承諾書を添付してもらう事は大事な事です。引渡し後境界で紛争があったなど問題が発生すると中々決着がつきません。平成17年4月6日より筆界特定制度というのが出来ました。法務局にて申請します。
その他
④リノベーション
中古物件についてはきちんとリノベーションをして高利回りを実現できるかを考えて投資します。この計画が立たなければ現状のままの利回りで満足するしかありませんが、高利回りを実現したいのであれば是非検討しましょう。高利回り実現のポイントを良く検討してみてください。